
Carnegie Mellon University Human Computer Interaction Institute PhDコースの記録
週末にダウンタウンでミュージカルのCATSを見てきました。
木曜から日曜までの4日間のみの公演で、当初は行く予定はありませんでした。
でも、金曜あたりに”まだチケットが買えるよ”みたいなメールが劇場から来ていて、妻が行きたい行きたいと強く主張したので結局行ってきました。
私はCATSは2回目、妻は6回目ぐらいですが、アメリカに来てからは初のミュージカルです。
ミストフェリーズ役の方のダンスがちょっと残念な感じだったのに驚きましたが(一番ダンスで目立つ役なのに、、)フェッテでクルクル回る所で、”回転軸がずれている、どんどんスポットライトからはずれていっちゃうよ”という珍しいスリルも味わえました(^^;
かと思えば、カサンドラ役の方は一人だけずば抜けてダンスがうまかったりとか、、
クオリティは、まぁ値段相応(日本のチケットの1/2〜1/4程度の値段)という感じですが、それなりに楽しめました。
ちなみに英語は、ソロで歌っている時で5割程度、合唱の部分では1,2割程度しか分かりませんでした。やっぱり歌を聴き取るのは難しいです。
CHI2010に論文が通らなかった(しかもかなりぎりぎりで通らなかった)のでしばらくやる気が低下していましたが、Spring Semesterも始まり、徐々に回復してきました。
さて、このセメスターは一つのCouseでTAをし、半期のMini Courseを二つ履修しています。
履修しているのは
の二つで、どちらも論文を読んでディスカッションという形で授業が進みます。
以前に履修したComputer Science Perspective of HCIとSocial Perspective of HCIと併せてHCIの基礎となっている分野を学びます。
TA (Teaching Assistant)をしているのは
というCourseでArduinoを使って実際にハードを作ってみようというCourseです。
Arduinoはかなり簡単にかつ素早くセンサからのデータの取得や、ちょっとしたハードの制御などが出来るプラットフォームで、HCIIではプロトタイピングによく使われています。日本でも購入可能なので興味のある人はさわってみてください。
さて、このCourseは一応Graduate Student向けなのですが、履修している生徒30人ほどの内、約半数がHCIのデザイン系Masterなので、電流、電圧、基本的な電子部品(ダイオードやコンデンサなど)といったかなり基本的なところからスタートしています。ただ、学期中に5個プロジェクト(3個は指定課題、2個は自由課題)をこなす必要があるという、非常にプロジェクト中心の授業なので人によってはかなり複雑なシステムも実装するのではないかと思います。
#授業中に明らかに暇そうにしている人が結構いるので、、、
私のTAとしての主な仕事は
です。今のところは一つ目のプロジェクトの課題が出たばかりなので、まだすることがほとんどないです。プロジェクトが本格化するとどうなるかは不明です。
ちなみに、一つ目の課題は
8×8のマトリックスLEDを使って何かゲームを作ってこい
ということです。今は比較的時間があるので私も何か作ってみようと思っています。
すでに一年と一ヶ月ほど経っていますが、PhDの一年目でどのぐらいの作業をしたのか紹介してみます。
私自身、一度日本で企業で研究者として働いてから退職し、アメリカのPhD Studentになったのですが、PhD Studentがどのぐらいの作業をこなしていく必要があるのか、さらにはそれが自分に可能か考える上で、データを探したことがあります。でも、少なくともその際は、こういうデータはほとんど見つからなかったので、同じようなデータを探している人の参考になれば幸いです。
研究
採択論文
Co-authored paper 1本 (Pervasive Computing 2009)
投稿中論文
First author 2本 (ACM SIGCHI 2010)
採択ポスター
First author 2本 (SOUPS 2009)
CMUのFacultyに聞いた感じでは、一概には言えないけれども、年に1本、full paperを1st tierの学会(HCIならCHI、セキュリティならIEEE Security and PrivacyやUSENIX)に通して、1,2本を2nd tire(Ubicomp, Pervasive, SOUPSなど)に通せば良い成果を出しているといえるようです。
(もちろん、論文の内容にもよるので、数や学会だけがすべてではありません)
読んだ論文の数: 403本
Papersで読んだ論文をすべて管理しているので、そこから本数を抽出。
授業のために読んだものと自分の研究目的のものが約半々です。Social Science系(1本あたり30ページぐらい)とCS系(1本あたり10ページぐらい)が約半々なので、ページ数だと約8000ページ。夏セメスターの間にあまり論文を読まなかったのでちょっと少なめになりました。
コースワーク
上のリストは単位がついているもの。
下の二つはNon-native speaker向けの英語の授業です。これ以外に単位のついていないESLの授業も多数取りました。その結果、Native speakerのPhDより多くの時間をコースワークに割きました。
作業時間
78時間/週
2008/10/15〜22の間、15分毎に直前の15分間に何をしていたか1分単位で記録(e.g., web browsing9分、メール返信6分)
得られたデータからコースワークもしくは研究に関係する作業のみを抽出し集計。作業の合間に息抜きでwebを見て回った、友達とIMでチャットしていた、などの時間は作業時間に含まれていません。
そのため、作業時間の測定としては正確ですが、そもそも作業時間がデータを取ったときの状況や、データを取ること自体でバイアスされる(記録を取っていると遊びにくい)ので、あまり客観的なデータとは言えません。感覚的には年間通して一週間あたり70時間程度だと思います。
ただ、最近はMachine Learningの影響で80時間にかなり近づいていると思います。月だと280〜320時間ですね(TT
Appleがマルチタッチ対応のMagic Mouseを発表していますが、こちらはMicrosoft Researchのマルチタッチマウス
YouTubeのコメントではMagic Mouseとの比較で酷評されていますが、こちらは研究目的で今のマウスの形に拘らずに、マルチタッチを加えるとどうなるかを考えたもの。一方、Magic Mouseは今のマウスにいかにうまくマルチタッチを加えるか考えたもの。そのため、両者を比較することにあまり意味はありません。
ちなみに、論文はUIST2010でベストペーパーを取ってます。
今学期はUbiquitous ComputingとMachine Learningの授業を取っています
CMUのMachine Learningの授業はとても有名で、ほとんどの人が”是非取るべき”というのですが、
宿題は大変だけど是非取るべき
とか
とんでもなく時間がかかるけど是非取るべき
とか
作業量が狂ってるぐらい多いけど是非取るべき
とか、あまり考えたくない枕がつきます
どれぐらいの作業量かと言うと、約3ヶ月の授業で、
で、明日が一回目のHomeworkの締め切りなんですけど、私の書いたレポートは、25ページあります(ちなみに問題はこちら)
総計25時間ほどかかりました(TT
で、明日は2つめのHomeworkがでると、、、
Machine Learningは体系的に勉強してみたいと思っていたので、授業もHomeworkもすごく楽しいんですけど、自分の研究をする時間をどう確保するかが問題です
CHI 2010にFull paperを2本投稿しました。
昨日締め切りだったんですけど、かなーりきつかったです、、、
CHIは正式名称がACM Conference on Human Factors in Computing SystemsでHCI系ではトップの学会です。
その分査読は厳しくてアクセプト率は約20%、CMU関係者が投稿した論文のなかだけで計算するとアクセプト率を計算すると約50%です。
もちろんブラインドでの査読なので、CMUの人が書いているからとかいう理由で率が高いのではなく、純粋に質が良いから通りやすいということです。
この後は、まず11月の始めにレビューの結果が返ってきて、それに対して反論が一度できます(rebuttalといいます)で、そのあと12月頃に最終結果がきまります。今回私は2本書いたので、単純に計算すると75%ぐらいの確立で少なくとも1本は通るということになりますが、どうなることやら。
ところでCHI2010のトップページにある一番左の写真、GBAかよ!古い!
今週から2009年度入学のPhD向けオリエンテーションが行われています。
ということは、私がCMUに入ってから一年経ったということです。なんだかあっという間に過ぎてしまったので、全く実感がありません。この調子だと、卒業までに5年(もしくは6年か7年)もあっという間に過ぎてしまうんでしょうねぇ。
再度気合いを入れて頑張ろう。
もうとっくにPittsburghに戻ってきていますが、まだSOUPSに参加した時の話の続きです。
Sun Joseに行くことになったときに、すごく楽しみだったのが、ラーメン。アメリカに来てどの日本食が恋しいかというと、ラーメン。寿司や刺身も恋しいですが、なんといってもラーメン。
Pittsburghは小さい街で日本人の数も限られているので、日本風のラーメンを食べられるところがありません。たまに自分で作ったりもしますが、やはりラーメン店のラーメンとは違います。ところがSun Joseは沢山日本風のラーメンを出している店があると聞いたので、学会の隙間に行ってきました。
Webで調べてみたところホテル周辺ではラーメン晴というのが評判がよい。場所はSun JoseのMitsuwaの隣らしい。
ホテルからバスで40分ほどかけてMitsuwaまで移動(Mitsuwaというのは大きい日本食材店です。日本のちょっと小さめのスーパーぐらいのサイズがあって、かなり色々な物がおいてあります。Pittsburgh在住の身としては魚が食べたいところですが、料理する場所もないし、もっては帰れないし、ということで冷蔵しなくても大丈夫なものを買い込んで来ました。)
Mitsuwaでの買い物の後、あたりを見回してみたところ香風というラーメン屋さんはあるけど晴は見つからず、、、
とりあえず香風でラーメンを食べてみる

正直微妙、、、麺がなにかゴリゴリしているし、スープもいまいち。これなら自分で作った方がお(ry
ホテルに戻ってGoogleで晴の位置を再確認。なんと、Mitsuwaから結構離れている。アメリカ基準で”隣”でした(^^;
という訳で、帰る前日再度バスで40分行ってきました。

今度はちゃんとおいしい。ちょっと味が濃すぎて、最後はつらくなったものの、これならまた機会があれば食べに来たいです。
今回は時間がなくて行けませんでしたが、San Franciscoの方にも色々あるみたいなので、次に西海岸に来ることがあれば行ってみようと思います。
一日毎に記事を書こうかと思っていたら、他の参加者と夕飯を食べに行ったり、サンノゼをうろうろしたりで全くそんな暇はなかったの巻。
と言うわけでSOUPS関係のことを順に書いていこうと思います。
まずはSOUPS(Symposium On Usable Privacy and Security)自体について
今回は論文のAccept数は15でAccept率は約20%。参加者数は100人ぐらいだったのではないかと思います。Googleで開催と言うこともあり、Googleのエンジニアも数名参加していました。
気になった論文は以下の通り。
A “Nutrition Label” for Privacy
Patrick Gage Kelley, Joanna Bresee, Lorrie Faith Cranor, and Robert W. Reeder
サイトのPrivacy Policyをもっとユーザにわかりやすい形で提示する手法に関する論文。一般ユーザが食品の栄養成分表示に慣れていることを利用して、栄養成分表示に類似の形式で表示してみました。ユーザスタディではPrivacy Policyを従来の方式と提案方式でユーザに提示した後に、ユーザがどの程度理解出来ているかをテストした。結果としてかなり良好な結果が得られているが、この結果は質問の内容に強く依存しているので評価が難しいかもしれない。特にPrivacy Policyを従来の文字の形式で表示した場合と提案方式で表示した場合を比較すると、提案方式では細かい情報が表示されない(だから見やすいのだけれども、、)そのため、表示されない情報について質問すると結果が非常に悪くなる可能性があると思われる。
Serial Hook-Ups: A Comparative Usability Study of Secure Device Pairing Methods
Alfred Kobsa, Rahim Sonawalla, Gene Tsudik, Ersin Uzun and Yang Wang
Usability and Security of Out-Of-Band Channels in Secure Device Pairing Protocols
Ronald Kainda, Ivan Flechais and Andrew William Roscoe
どちらの論文もデバイス間のPairing Protocolに関して複数方式でUsabilityを評価したという内容。
その結果、数字を入力する方式が最も良いとのデータが得られたのが興味深い。この手のParing Protocolの研究では、”数字を入力するのはUsabilityはあまり高くない。そこでxxxな方式を提案します”という論文が多くあり、絵を使ったり、音を使ったり、加速度センサを使ったりするParing Protocolを提案していた訳なのですが、比較してみると結局、数字を入力する方式が良かったというのは、非常に興味深い。